Repair of VP-7720A Audio Analyzer 22015/08/29

 VP-7720A(National製、後のPanasonic)の10Hz-159.9Hzレンジ不調の原因ですが、いくつか可能性は考えられます。まず、発振側と歪率計側の同調ずれ(周波数のずれ)。発振器の周波数を調べてみると、10Hzから159.9Hzまで大きな問題は無いようです。
 ここで「いきなり」歪率計回路のフィルター回り(下図左矢印部分K11)のリードリレーを変えました。というのは、ノッチフィルターのコンデンサー(0.47μF、下図右矢印)が前修理者によって替えられていたからです。(実測、0.43μF) ここのノッチフィルターはR=1/2R'、C=2C'と設計されているので、これを変えなければならないと言うことは、そもそも別の原因ということです。(この検査には、容量計が威力を発揮します。秋月の安価なCM-7115A、やや高級なDE-5000、どちらも結果は同じでした。)
フィルター
 経験的には、まず「リレーの接触抵抗を疑え」です。と言う訳で、このリレー(Analyzer A2のK11)ともう一つのリレー(Analyzer B1のK2)を代替え品に替えました。VP-7720Aのノッチフィルターは、同調幅を広く、ただし深くするために2段構成になっているようですから、2カ所のリレーを一気に替えました。
 元設計通りにコンデンサーを0.47μFに戻して、スイッチON。OKです。10Hzで、0.0011%、150Hzで 0.0008% (30KHzローパスフィルター使用時)に改善です。結局、VP-7720Aの修理は、「リードリレーを疑え」が肝ですね。代替え品は、5V2回路の リードリレーですが、沖田製作所のDIP-2M-05やMagnecraftのW171DIP-21といったところです。もともとは磁気シールドタイプが 使われていますが、普通品でも問題ないようです。(他にもサンユー工業のUDM-205DやNECのPG2A-05Dなどのダイオード付きも使えると思われますが、極性があるので一工夫必要です。OMRONのLADはちょっと寸法が違うので、付けにくいですが、頑張ればなんとかです。)両面基板の部品交換は熟練を要します。この辺は自己責任でお楽しみください。
 さて、これで「本質的な問題は無くなった」ようですが、いくつか小さな問題が残っているようです。それは、また次回にでも。VP-7720Aの修理はまだ続きそうです。