SONY TC-RX70:修理 REC EQの謎 ― 2024/11/17
TC-K222ESAは多少の問題が残っているものの,実戦配備して順調に使用中です.TC-K222ESAの現状については,次の機会にお見せしようと思います.
さて,その後,ジャンクのTC-RX70を入手し修理しました.キャプスタンとモード切替のゴムベルト交換,キャプスタン軸のヨゴレ取り,ピンチローラーの交換,電源部ケミコンの交換,アジマスや電気的調整などを行なって,ほぼ良好な状態になりました.この個体はヘッドの状態が良好なようで,主としてFMエアーチェック(録音)に使っています.ただ,一つだけ不可解な症状が残っていて,今回はそれについての話題です.
問題は録音イコライザー の不調です.不思議なことにノーマル(Type1),メタル(Type4)は好調ですが,クロム(Type2)では著しく波形が歪みます.R316(R-ch, 8.2kΩ)の端,CXA1198APの8pin側で見た波形を3枚示します.いずれもメーターの表示が0dB時の4kHzです.上から順にノーマル,クロム,メタルです.クロムの場合だけ1V/div,他は500mV/divです.
ノーマル 4kHz 0dB
クロム 4kHz 0dB
メタル 4kHz 0dB
クロム(Type2)の歪みはメーター表示-6dBの場合でも認識できます.また,L-ch(R116)でも,軽症ですが同様な歪みが見られます.
Type2だけの症状なので,REC EQ SWITCHのQ503を疑いました.(TC-RX70の回路図ではQ504となっていますが,Q503の間違いだと思います.)実機には,3402 OHと表記のトランジスターが使われていましたが,回路図のDTC143が入手できたので,付け替えてみました.しかし,症状に変化無しでした.
R-h,L-ch両方のEQカーブをQ503一本で切り替えているCXA1198APの動作は理解できていませんが,なんとかしたいものです.もしかすると,全面的な再ハンダの時に,どこかショートさせているのかもしれません.CXA1198APをが入手できたので,次にはCXA1198APを外して,R518〜R523の抵抗値を確認してみようと思っています.(なお,実機の抵抗値は回路図と微妙に違っているようです.)
追記: R518〜523の抵抗値ですが,(回路図,実物の表記,実測値)はR518 (62k, 62k, 62.7k), R519 (51k, 51k, 51.2k), R520 (330K, 360k, 362.6k), R521 (220k, 240k, 243k), R522 (33k, 30k, 29.9k), R523 (390k, 390k, 388.6k)で大きな問題はありませんでした.また,IC: CXA11998APを新品に交換しましたが,効果無しでした.周辺のいくつかのケミカルコンデンサーも交換しましたが,これも効果無し,基板周辺部のパターン,はんだ付けを確認しましたが異常無しでした.
なお,CXA1198APの入力ですが,R314(または,R114)の前後どちら側で調べても歪んでいないので,歪みはCXA1198APの中で生じていることは確実です.
ノーマルのR512〜R517,メタルのR524〜R529に比べてクロム(Type2)のR518〜R523の抵抗値が大きめなので,この辺りに問題があるのかもしれません.ということで,打つ手が尽きたので,当面このまま,クロム(Type2)テープは使わないことで済ます事にしました.
何か,アイディア,コメントがありましたら,よろしくお願いします.
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://colorkonan16.asablo.jp/blog/2024/11/17/9732397/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。