VP-7720A オーディオアナライザ 修理 その32015/08/29

 それでは、National(ナショナル、後のPanasonic)製の微妙な調整にはいります。(ただし、これは私なりの調整で、間違っていても責任は持てません。ここからも自己責任で調整してください。)なお、既に前修理者によって発振器基板のモリリカMCD-527はMCD-5221(LかなHかな?)に替えられていました。
 発振器の調整箇所は下図のトリマー(C15)と可変抵抗(5つ)です。右から順にC15は100KHzレンジの周波数調整です。最高周波数159.9KHzで周波数を合わせました。右から2つめR29(OFF SET調整)は、そのままです。3つめのR30はAuto lebel controleです。出力電圧を変えれるはずですが、この機械では、ほとんど変化しないようでした。(今は、歪率が最も低くなるように合わせています。)4つめはR86、1KHzレンジの周波数合わせです。5つめはR81で、これは100Hzレンジの周波数調整です。最後のR177は出力電圧調整で、昔のメモには1.5dBから1.6dB(2.4dBから2.5dB)の切り替え時、出力電圧を整合させると書いていましたが、回路図を見ても単なる出力電圧の調整のようです。(実のところ、昔のメモが正しいです。「Repair of VP-7720A Audio Analyzer 1」の中のtfbb2009さんの2018/4/17のコメントをご覧ください。)
 ここで、注意すべきことは、発振器側の周波数を、正確にあわせるだけでなく、歪率計の同調周波数も合っていなければならないことです。従って、「今まで測 れていたのに、発振周波数を正確に調整したらかえってダメだぞ。」ということも起きえます。まず、別発振器と周波数カウンターを使って、全ての周波数レン ジで歪率計の同調周波数領域をあらかじめ確かめておくのが無難です。
(なお、R81が変に合わせてあると10Hzの振幅が不安定になります。また、R30が不適切でも振幅の不安定が起きます。) ということで、最終調整を終えた2号機(下図の上)と従来から使ってきた1号機です。200Hzでの出力電圧、歪率(30kHzローパスフィルターONで、0.0005%)が同じになりました。
VP-7720A
 ここまで来てみて、1号機と2号機の微妙な違いに気付きました。
(1)1号機では、ローパスフィルターと400Hzハイパスフィルターを同時にONできるのに対して、2号機ではフィルターはどれか一つしかONにできません。これは、故障というより、もともとROMには
こう書かれているのでは、と思います。どなたかご存知でしたら教えてくださいませんか。
(2)16.0KHz-159.9KHzレンジでは、2号機のほうがやや低歪みです。150KHz、0dB出力(フィルター無し)で1号機が0.0082%、2号機が0.0062%と2号機のほうがちょっと良いんですね。
(3)1号機はVP-7720Aに特有のメータ針ひっかかりが多発して、メーターは2つともNishizawaの同等品(F.S. DC 200μA)に換えましたが、2号機はこの症状は、あまり出ず、今のところ交換の必要は無いようです。
(4)1号機では、リードリレー不調の嵐で、発振回路のK1、K2、K6、K8他なども交換しましたが、2号機は「あまり使われなかった」のか、比較的故障個所が少ないようです。